総合ニュース  2018年10月13日 21:04

■宇宙エレベーター実証へ 実験機を打ち上げ 青木教授開発の技術を搭載

 理工学部の青木義男教授(安全設計工学)の研究室が静岡大工学部と共同で研究開発した宇宙エレベーターの実験機、超小型衛星「STARS―Me」が国際宇宙ステーションに向けて近く打ち上げられる。実験機は打ち上げ後、日本の宇宙実験棟「きぼう」に到着し、宇宙空間に放たれる。

 宇宙エレベーターは将来的には、高度3万6000㌔の静止軌道ステーションと地上との間をテザーと呼ばれるケーブルで結び、昇降機がエレベーターのように上下するシステムを目指している。
 これまで宇宙空間でケーブルを延ばす実験は行われてきたが、今回は安定して昇降機を動かせるかが最大の課題となる。ケーブルを延ばしてから昇降機を行き来させる実験は世界初で、国内外から注目されている。
 「STARS―Me」は一辺10㌢の立方体が二つにつながった形。総重量は2・42㌔。宇宙空間に放出されると、まず地上との通信実験を行い、通信に成功すれば本体の姿勢を安定させて展開作業に移る。
 展開は、昇降機を固定したまま昇降機のモーターを回し、巻いてあるケーブルを繰り出す。こうすることでケーブルの先端にある衛星上部が押し出されていく。さらに、モーターを逆回転すると昇降機自体が動き出し、ケーブルを行き来する。すべての実験を終えると、衛星は大気圏に突入し燃え尽きる。実験期間は1年以内を計画しているが、結果次第では最長で2年ほどかかる。
 青木教授は、実験機の通信や展開方法の設計に関わった。特に、衛星の姿勢をなるべく安定させた状態でケーブルが展開できるよう工夫を凝らした。
 当初は、バネの力で衛星を切り離してケーブルを引き延ばす方法を考えたが、延び切った後の反動で衛星が戻ってきてしまうと衛星の姿勢が不安定になり、昇降機が動きにくくなったりケーブルと絡んでしまったりする恐れがあることが判った。そこで、モーターでケーブルを繰り出す方式に変更した。
 さらに、展開後に衛星の姿勢を安定させることはさらに難しいため、ねじれてもまっすぐ安定するようにケーブルをきしめんのようにベルト状にして剛性を持たせる工夫を加えた。
 実験機は鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Bロケットで打ち上げられる。
 青木教授は「この実験が成功すれば軌道エレベーターやテザー衛星の実現可能性が格段に高まる」と話している。

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宇宙エレベーター実験機の模型を示す青木教授。左手でつまんでいるのが二つの衛星間を行き来する昇降機


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宇宙空間での実験機の展開イメージ(青木教授提供)

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