学術ニュース  2018年08月06日 14:23

■日藝賞 片渕監督が記念講演 「作品は花」独自の映画観

 第12回日藝賞を受賞したアニメ映画監督の片渕須直さん(57歳、1983年映画卒)の記念講演会が7月3日に芸術学部江古田校舎で行われた。片渕さんは芸術学部生ら約100人を前に、制作に当たっての資金調達の苦労や上映館と一体となったプロモーションなどを振り返り、映画作品を「花」に例える独自の映画観を披瀝(ひれき)した。

 片渕さんは映画を作るには「監督の知名度」が大切という話から切り出した。大ヒット作となったアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年公開)の発表前はまだ世間に名が知られていなかった片渕さんは、制作費獲得に苦労したという。しかし、5分程度の試作品を作る費用をクラウドファンディングで募ったところ、3774人もの人が出資してくれた。大勢の人が自分のことや作品を知ってくれていると分かって自信につながったという。
 学生時代には、後に伝説的なアニメ監督となる宮崎駿監督の映画制作を手伝い、01年には「アリーテ姫」、09年には「マイマイ新子と千年の魔法」を世に問うたが、両作品とも興行収入が思うように伸びなかった。
 特に「マイマイ新子と千年の魔法」は自信をもって送り出したにもかかわらず、上映初日から客足が伸びず苦戦した。しかし、「絶対に面白い」と自信があった片渕さんは、SNSで映画の魅力を語るなど精力的に宣伝活動を行い、上映開始から4週目の最終上映では、東京の新宿ピカデリーの客席をほぼ9割がた埋めることができた。
 さらにその後も「夜の上映のみ」という形で約1年間、収容人数40人ほどの阿佐谷の単館劇場で上映を続けた。片渕さんは毎日舞台に上がってあいさつし、お客さんと向き合った。その期間を「映画館の従業員とお客さん、制作した自分たちが一体となることができた」としみじみと振り返った。この経験を「この世界の片隅で」の上映でも生かし、最初は町のミニシアターなどで積極的に上映を行ったところじわじわと人気に火がついた。
 最後に片渕さんは、映画を花に例えた。「僕らは花をつくるだけ、映画館で働く人やお客さんが水をあげて初めて成り立つもの。その結果がこの日藝賞の賞品であるブロンズのバラになっている」と締めくくった。

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              来場者に語り掛ける片渕監督

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