学術ニュース  2018年07月04日 21:17

■工 IOTで高齢者を見守り 自宅と地域包括ケア

 工学部の酒谷薫教授(統合生体医療工学研究室)はこのほど、「モノのインターネット」(IOT)などを活用して高齢者の見守りや認知症予防に取り組む「次世代地域包括ケア」の仕組み作りに乗り出した。これまで積み上げてきた高齢者世帯の見守り実験などの実績を生かし、医療機器メーカーやIT企業、医療・介護関連施設などと幅広く連携し、医療機関で受診しなくても自宅や地域で健康管理ができる仕組みを目指す。

 この次世代包括ケアは「在宅型」と「地域型」の健康管理システムを組み合わせたものとなる。在宅型は、寝具の下に敷く長さ約90㌢のシート状の睡眠センサーを使用する。睡眠時の心拍、呼吸数や寝返りの回数などを常時計測し、睡眠の質を把握して高齢者を見守る。この睡眠センサーは、酒谷教授が郡山市の総合南東北病院などと2014年に共同開発。工学部が16年に同市と締結した協定に基づき、同市小山田地区の30世帯に設置されている。今後は同市内外に展開していく考えだ。
 地域型は郡山市と須賀川市の高齢者向けのスポーツジムなどに「IOT・POCT」と呼ばれる検査機器を設置し、約140人のジム利用者の健康管理をサポートする。IOT・POCTも、酒谷教授と総合南東北病院などが昨年共同開発したものだ。血圧や脈拍、体重に加え、「近赤外分光法」という技術を用いて脳機能も計測でき、認知症予防などに活用する。利用者は自分の計測データをモニターで確認できるので、健康意識の向上につながる。今後は商業施設や企業のオフィス、工場などにもIOT・POCTを置き、利用者の大幅な増加を見込む。
 睡眠センサーとIOT・POCTで得られた測定データは、ICTを活用して、パーソナルヘルスレコード(PHR)と呼ばれる個人の健康・医療・介護全般の情報を統合したヘルスケアデータベースに蓄積される。データを解析して、病気の早期発見や健康維持に役立てる。
 現在、得られたデータは酒谷教授が解析しているが、将来は人工知能(AI)で解析できるようシステムを開発中だ。
 また、女性の高齢者については、化粧の習慣を健康につなげる「化粧療法」など、医薬品や機器に頼らない手法も研究している。
 酒谷教授は「一番大事なのはコミュニケーション。先端技術だけに頼らず、人とのつながりを大事にしながら地域包括ケアのモデルを確立し、県内外に展開したい」と話している。

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 スポーツジムの利用者にIOT・POCTの使い方を教える酒谷教授

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