総合ニュース  2017年10月26日 20:18

■創立130周年記念シンポジウム 加藤厚労相が基調講演 日本の医療を徹底討論

 2019年の本学創立130周年を記念し、読売テレビの報道番組「ウェークアップ!ぷらす」と本学が共催するシンポジウム「『どうなる日本!?』~この国の医療への診断書~」が10月7日、東京都港区のホテルオークラ東京で開催された。

 本学医学部教授や厚生労働省の役職経験者らがパネリストとして出席し、日本が抱える課題について約3時間にわたって討議。番組を通じて応募し、抽選で選ばれた一般来場者550人と医学部生ら本学関係者250人が聴講した。
 司会は同番組キャスターの辛坊治郎氏と森麻季氏が務め、冒頭で加藤直人副学長が「日本の医療を考える機会にしてほしい」とあいさつした。
 第1部では加藤勝信厚生労働大臣が「日本の医療の課題と展望」と題して基調講演した。加藤氏は2025年にはいわゆる団塊の世代が75歳以上になり「特に医療・介護の需要が高くなる」と述べ、病床数の増加や地域包括ケアシステムの構築が必要との考えを示した。一方、医療従事者の偏在については「今後は都道府県を主体とした医師確保のための法整備を検討したい」と述べた。
 第2部では本学医学部が誇る〝ゴッドハンド〟医師3人、髙山忠利医学部長、後藤田卓志教授、石原寿光教授が各専門について解説した。
 肝臓の「尾状葉」切除に初めて成功し、3500を超える肝・胆・膵(すい)がん手術例で国内トップクラスの髙山医学部長は、スライドを使って「肝がん」「生体肝移植」について語り、日本における「生体肝移植」は家族の愛によって成り立っていると述べた。
 胃がんの内視鏡的切除で世界的に知られる日本大学病院消化器病センター長の後藤田教授は、早期に「胃がん」を発見すれば、内視鏡的切除で治療することができると解説。また将来、ピロリ菌保有者が減ることから「胃がんの発生率も低下するだろう」と語った。
 糖尿病治療の権威、石原教授は、生活習慣病によって引き起こされる「糖尿病」の現在の治療目標は健康な人と変わらない日常生活の質の維持、寿命の確保だと話し、血糖、体重、血圧などの良好なコントロールに必要な、簡単な測定装置の技術が近年進歩していると話した。また将来、インスリン注射をしなくてもパッチを貼ることでインスリンを投与できる技術が研究開発中であると紹介した。
 その後、医師で医療ジャーナリストの森田豊氏、鴨下一郎元厚生労働副大臣(1979年大学院医学研究科修了)とともにパネルディスカッションをした。冒頭、辛坊氏は、このままでは国民皆保険制度が破綻するのではないかとしてパネリストの見解をただした。森田氏は皆保険制度を評価しながらも、「国民一人一人の所得差に応じて、医療負担額を変えるような新たな制度作りが必要」とした。
 同様に医療従事者の減少問題も議題に上がり、新たな医療技術の導入についても白熱した議論が交わされた。血液1滴で13種類のがんを早期発見できる検査法をめぐっては、人間ドックなどに導入されれば、受診率が高まるのではないかと森田氏は期待を語った。
 人工知能(AI)を使った医療については、人間とAIの分業が争点になった。石原教授は、AIの有効性を認めつつも、「患者一人一人に寄り添った治療は人間の医師にしかできない」とも述べた。最後にパネリスト5人が日本医療の「診断書」となるような提言を発表、シンポジウムを締めくくった。

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           第1部で登場した加藤厚労相

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