学術ニュース  2017年06月23日 20:33

■工 酒谷教授らが手法開発 軽度認知障害を簡易に判定

 認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」を簡便に判定する手法をこのほど、工学部の酒谷薫教授(統合生体医療工学)らの研究グループが福島県郡山市内の「総合南東北病院」の協力を得て開発した。一般的な血液検査でMCIを発見できるのが特徴で、認知症のリスクを早期に発見し、生活習慣の見直しなどで予防につなげる狙いがある。

 MCIは健康な状態と認知症の中間の段階で、日常生活への影響はないが、認知機能の一部で障害が見られる。国立長寿医療研究センターの研究ではMCIと判定されてもその後の生活習慣の改善などで半数近くの患者が正常な状態に戻ったとされ、MCIの早期発見が認知症予防に役立つとして注目されている。
 MCIの診断には磁気共鳴画像装置(MRI)などを使った精密検査が必要で、時間も費用もかかり、受診機会が限られていた。認知症を発症してから診断されるケースも少なくなかった。
 酒谷教授らが開発した新手法は、人工知能(AI)の深層学習(ディープラーニング)を活用したものだ。過去の膨大な症例からタンパク質などの血液の成分と認知症の進度の関連を調べ、その結果を基に、新たな受診者の血液データと照合し認知症の進行度合いを判定する。
 健康診断などの血液検査データをそのまま用いるという手軽さで、短時間に多くの症例について認知症のリスク発見が期待できる。酒谷教授らの研究では、95%以上の精度でMCIの判定が可能だったという。
 現在、特許を出願しており、病院や民間企業の健診での活用も検討している。また、県内のIT企業と連携して、個人が結果を入力し判定するスマートフォン向けの診断アプリの開発も検討している。
 酒谷教授は「超高齢化社会の中で認知症対策の大事な切り札になる」と話している。

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