学術ニュース  2016年03月25日 21:05

■生物資源科 深海で鯨骨を発見 群がる生物、新種の可能性

 生物資源科学部の荒功一・准教授(海洋環境学)と海洋研究開発機構(JAMSTEC)、サンパウロ大学などの共同研究グループはこのほど、3年前に南大西洋の深海底で発見したクジラの遺骸に群がる生物群(鯨骨生物群集)から41種の生物を確認したと発表した。

 全て新種の可能性が高い。深海の熱水噴出孔などの周辺に生息する「化学合成生物」の分散の謎を解く手掛かりになりそうだ。
 骨はクロミンククジラのもので、深さ4204㍍の海底で見つかった。深海のクジラの遺骸が南大西洋で見つかったのは初めて。グループの当初の研究目的は海嶺の調査だったが、潜水船で先行して潜ったメンバーが偶然、鯨骨を発見。荒准教授が回収に当たった。
 海底の鯨骨や熱水噴出孔・湧水からは、本来は生物にとって有害な硫化水素などが発生。周辺には「化学合成生物」と呼ばれる特殊な生物が生息している。一方、熱水噴出孔と湧水周辺の生物構成は数百㌔、数千㌔隔たっても似ていることが知られており、その理由は解明されていなかった。
 そこで、熱水噴出孔や湧水と同じような環境を作り出す鯨の遺骸が「化学合成生物」の分散の足掛かりとして機能しているのではないかという「飛び石仮説」が提唱されるようになった。
 今回の鯨骨生物群集は、過去に北東太平洋の熱水噴出孔・湧水や鯨骨周辺で発見された生物構成と似ており、「化学合成生物」の分散・進化の謎を解く鍵となりそうだ。
 
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南大西洋の深海で見つかったクロミンククジラの骨(海洋研究開発機構提供)

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