学術ニュース  2012年11月26日 14:40

■工 触れるだけで血圧測定 尾股教授 世界初の血圧計 無採血で血糖測定も

 工学部電子電気工学科の尾股定夫教授(医療工学)はこのほど、指先で触れるだけで血圧が測れる世界初の血圧計の試作機を完成させた。血流を圧迫する必要がないため、救急医療への活用などが期待されるほか、血糖値測定に応用すれば、採血なしで測定が可能になる。尾股教授のもとには既に商品化のオファーが続々と届いており、世界の医療機器メーカーと共同で開発に取り掛かる。

 原理は、皮膚に接触する発光ダイオード(LED)から近赤外線を毎秒20万回前後照射し、その反射光の波形から血流量の変化を検出するというものだ。血液中のヘモグロビンが近赤外線を吸収するため、ヘモグロビンの動きから分かる血流の変動を読み取れる。検出した波の振幅を解析し、独自の換算方法に当てはめて血圧値を出す。
 尾股教授はこの「位相シフト法」と呼ぶ技術で既に特許を取得している。加圧式の血圧計は、圧迫帯内の圧を測って血圧値として算出するが、新方式では血流を直接測る。これにより、実際との誤差は5%以内にでき、従来型より高精度の測定が可能となる。また、新方式では1拍ごとの血流の変動を検出するため、リアルタイムの血圧値が分かる。
 試作機は、LEDと光を電気に変える受光素子を一体にした装置。要となる演算装置などのシステム部は1センチ四方と小さく、単3型乾電池4本で駆動できる。演算回路や表示装置などの部分についてさらなる小型化も見込める。
 この装置は、血糖測定にも応用可能だ。血糖値を測る場合は、血糖中のグルコースからの反射波を得るため波長の異なる2種のLEDを用いる。血圧測定の場合と同様に反射波を解析し血糖濃度を検出する仕組みだ。
 加圧、採血が不要となることから、いずれの場合も患者への負担は大幅に減る。また、血圧測定の圧迫帯が不要になることで、運動時の測定も容易になる。
 試作機は11月14日から17日までドイツ・デュッセルドルフで開かれた世界最大の国際医療機器展示会(MEDICA)に出展された。世界各国の数十社から商品化のオファーがあり、近く共同開発に取り掛かる。まずは欧米で販売を始める見込みだ。
 試作機は同28、29の両日に福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開催する展示会にも出展する予定。

血圧計.JPG

    血流の変動をLEDでリアルタイムに読み取れる

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