総合ニュース  2012年05月10日 14:33

■震災1年の課題討議 都市防災などで連携シンポ

 東日本大震災から1年。原発事故後のエネルギー問題や将来の都市防災をめぐり学内外の専門家が討議する「学部連携研究推進シンポジウム」が2、3月に相次いで開かれた。エネルギー問題では、原子力の代替となる現実的な選択肢は火力発電以外にないとの点で参加者の意見が一致。都市防災では、大規模災害に海上浮体で備えるべきだとする見解などが披露された。

 2月24、25の両日に法学部10号館で開かれた「21世紀における新たなエネルギーシステムの構築に向けた総合的研究」では、生物資源科など5学部の研究者らが原発の代替エネルギーの可能性について研究を発表した。バイオマス、風力などの新エネルギーの普及の現状や得失などが紹介されたが、いずれもコストなどの課題が多く、現実的なエネルギー源としては火力発電しかないという結論に収束した。
 国際関係学部の円居総一教授(金融経済学)は「火力発電なら発電所の分散、小型化も可能で電力供給も安定する。LNG(液化天然ガス)の有力なガス田が最近米国で発見されたこともあり、熱源の供給も安定している」と述べた。同シンポの研究代表である生物資源科学部の大賀圭治教授(農業経済学)は「機会があれば、日本の将来のエネルギー問題についてさらに議論を深めたい」と締めくくった。
 3月13、14の両日に理工学部(駿河台校舎)1号館で行われた「地震・津波に対する都市防災と災害医療」では、理工など5学部の研究者らが、発生が切迫しているとされる首都直下型地震などへの備えを医学、海洋学などの観点から討議した。
 基調講演した理工学部の増田光一教授(浮体工学)は、1995年の阪神淡路大震災、2004年のスマトラ島沖地震など災害ごとの特徴的な態様をまとめ、被災後に陸上の輸送ネットワークが機能しなかったことなどを共通の教訓として指摘した。
 その上で教授は、阪神淡路大震災で造船所の浮きドックが被害を免れた事実などに言及し、被災地を海上から支援することの有効性を列挙。将来の地震に備え、海上支援を機能させるためのシステムを前もって主要都市などに構築しておくことが防災上極めて重要と指摘した。
 増田教授は特に、船による被災地の救急医療を展開できるようにすべきだと強調。阪神淡路大震災の際に「船舶を利用して患者を搬送できていたら、より多くの命を救えたはず」と述べた。
 また、医学部の守谷俊専任講師(救急医学)は、阪神淡路大震災で倒壊した建物に挟まれて圧挫症候群(クラッシュ・シンドローム)が多発したことに触れ、首都直下型地震では、「災害急性期」に活動できるよう訓練を受けた医療従事者からなる医療チームDMATの活用が重要だと説いた。


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エネルギー問題を討議するパネリスト

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