学術ニュース  2011年11月16日 13:58

■稲葉講師の小説「半島」が谷崎賞 志摩半島での生活記

 作家で芸術学部の稲葉真弓講師(61)の小説「半島」(2011年講談社刊)がこのほど谷崎潤一郎賞を受賞した。授賞式は10月13日、東京・丸の内の東京会舘で中央公論文芸賞の授賞式と併せて行われた。

 受賞作は、志摩半島に建てた家に一人で住む初老の女性が語る生活記の体裁をとっている。主人公の「私」が、地元の人々と交わす言葉のやりとりや豊かな自然と取り結ぶ関係が、さまざまなエピソードを連ねる形で描かれている。
 稲葉講師は、1973年に小説「蒼い影の痛みを」で婦人公論の女流新人賞を受賞。小説「琥珀の町で」が90年下半期の芥川賞候補になったほか、小説「エンドレス・ワルツ」が92年に女流文学賞を受賞した。2008年に発表した小説「海松」が同年の川端康成文学賞と10年の芸術選奨文部科学大臣賞をダブル受賞するなど、文壇では既に高い評価を得ていた。
 本学芸術学部では10年から学生に小説などの書き方を指導する「文芸創作実習」などを担当している。
 稲葉講師の話 谷崎潤一郎さんは学生のころから憧れの作家でした。「細雪」を読んだ時、読者を飽きさせない独特の美しい文体に「なんだ、これは」と思い、谷崎文学の底力にぼうぜんとしました。描写力、微細な心理の動きを見逃さない視線に加えて、日本語の美しさにも目を見張らされました。読み始めたらやめられないのです。「細雪」は、長編小説を書くときに「作品にいかなる引力を持たせるか」を意識させる良きお手本となっています。そういう、自分にとって最高峰の賞を受賞できたことがうれしい。


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