総合ニュース  2010年11月24日 18:35

■人力飛行 理工・安部研 飛行距離更新の挑戦 主翼破損で新記録ならず

理工学部の安部建一専任講師の教え子らが同学部航空研などと協力し製作した人力飛行機「Möwe(メーベ)2006」が10月7日、富山県射水市の富山湾で飛行距離の記録更新に挑戦したが、48・420キロまで飛んだところで横風にあおられ左の翼が破損、海面に不時着水した。メーベが05年に静岡県の駿河湾で樹立した49・172キロの日本記録にわずかに届かなかった。安部専任講師は「急な横風に翼が耐えられなかった。破損がなければ世界記録も不可能ではなかった」と述べ、1988年に米マサチューセッツ工科大が樹立した115・110キロの世界記録への挑戦を続ける意向を明らかにした。文=高橋浩平、高橋恵理

【射水=富山県西部】
 午前5時48分、富山新港の岸壁を離陸したメーベは海岸線に沿って北東の新潟県方面に向かった。南西からの追い風に乗り、時速30キロ台半ばの速度で安定した飛行に入った。しかし同7時半ごろ、富山県朝日町沖で横風にあおられ左の主翼の先端が破損、機体は約6、7メートル落下して海上に不時着水した。パイロットの増田成幸さん(26歳、2008年理工卒)は着水の際、腰などを強打したが、伴走船から出動したライフセーバーによって救助され、機体も回収された。
 同研究室は当初、10月4-6日の3日間のいずれかで記録に挑戦する予定だったが、天候に恵まれず1日延長した。
 7日は早朝から晴天でほぼ無風、波も穏やかと絶好の飛行日和となった。人力飛行機のエンジンともいえるパイロットの増田さんも万全の体調で「離陸時に風が悪くならなければうまく飛べる」と意気込んだ。
 全長8・4メートル、主翼長33メートル、総重量34キログラム(パイロット・飲料は別)の「メーベ2006」は、骨組みをカーボン製とするなど歴代メーベで最も軽量化された。同機は、07年に製作に着手。08年から飛行記録に挑戦する態勢を整えながらも、機体の破損などアクシデントが続いたため昨年、一昨年と2度にわたり飛行を断念した。増田さんは05年に日本新記録を更新した時もパイロットを務めており、現在はロードレースの実業団に所属し日本や世界で活躍している。
 同研究室は、伴走船3隻をチャーターするなど機体回収などの支援体制を整えた。今回はこれに加え、校友会富山支部が富山新港岸壁の滑走場の整備などを行い、新潟県の校友会上越支部もチャーター船を出すなど全面的な支援に当たった。
 日本の人力飛行機の発展に果たした理工学部の役割は大きく、1966年に日本で初めて飛行した人力飛行機「Linnet(リネット)Ⅰ」も同学部で製作。飛行距離の日本記録も同学部関係者が90年(3709メートル)、92年(4436・7メートル)、2003年(10・881キロ)、04年(11・874キロ)、05年(49・172キロ)に更新した。

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早朝の富山湾上を安定して飛行するメーベ2006

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