学術ニュース  2009年11月04日 21:23

■商 折井専任講師が米大で発見 重文級キリシタン書

 江戸時代初期の宗教文書「キリシタン版」の一つでカトリック修道会のイエズス会が1611年に長崎で刊行した「ひですの経(きょう)」を、商学部の折井善果専任講師(日欧交渉史、スペイン語)が米ハーバード大の図書館で発見した。1907年にドイツの古書店目録に掲載された後、行方が分からなくなっていた幻の文書で、16世紀末から17世紀初頭にかけての日本でのイエズス会の布教活動を知る上で貴重な資料。日本にあるキリシタン版のほとんどは重要文化財に指定されており、同書も同等の価値があるとみられる。

 折井専任講師は7月から3カ月間、商学部の海外派遣研究員としてハーバード大で研究を行っていた。文書館の目録で調べものをしている最中に偶然「ひですの経」を発見した。
 同書は従来、スペイン人の宣教師ルイス・デ・グラナダ(1504~88)の著作「使徒信条入門綱要」の翻訳と考えられていたが、今回の発見でグラナダの「使徒信条入門第一巻」の翻訳であることが分かった。内容は、神の実在を当時の生物学や天文学の知識をもとに証明しようとするもの。『日本キリスト教歴史大事典』に採録されている現存キリシタン版一覧表によると、同書はこれまでに見つかったキリシタン版印刷物の中でも最も新しいものと考えられている。文字の彫り方が初期のキリシタン版よりも雑といった印刷技術の劣化などが見られ、キリスト教に対する徳川幕府弾圧期の、印刷所での切迫した作業状況もうかがわせる。日本古書通信社の樽見博さんは「今回の発見は日本の出版史、印刷史の研究への貢献となろう」と話した。
 サイズは縦27・9センチ、横19・3センチ。紙は美濃紙が使われ、保存状態は良好。同文書は日本文学のみならず、スペイン文学、神学、思想史学においても重要な資料であり、多くの分野をまたいだ共同研究の今後に期待がかかる。
 折井専任講師の話 偶然貴重なものが見つかって驚いている。今回の発見は情報技術の発展によるところも大きい。この文書がどういった経緯で迫害を逃れたのか解明していきたい。


ひですの経 大.jpg

行方不明になっていた幻の文書「ひですの経」

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