総合ニュース  2009年06月30日 23:22

■理工 人工浮体技術を提案 水没危機の太平洋諸国を救え

 理工学部海洋建築工学科は5月20日、駿河台校舎でNPO法人地球倶楽部ネットワーク2000、清水建設と「ニューフロートアイランドシンポジウム」を共催、キリバスのアノテ・トン大統領ら地球温暖化による海面上昇で水没危機に直面している太平洋諸国の首脳を招き、国土の喪失を救う人工浮体技術の実現可能性を探った。

 具体的に検討対象となった技術は二つ。同学科と地球倶楽部が構想したのは「ファームフロート」と呼ばれる20万平方メートルの人工の浮体農園。海水が本土を浸食し作物の育成が困難なキリバスへの農業支援に道を開く技術だ。キリバス本土の周辺にいくつかの「ファームフロート」を建設し、本土と橋で直結することを想定。同国民の自給自足的な生活様式に沿うよう、園内には水耕栽培でパイナップルなどを育てる農園やマグロの養殖を行う魚礁を設ける。また、海水を真水に変えるろ過装置や有機物を燃やして発電するシステムを採用する。建造費は推定2000億円。2015年までの実現を目指す。一方、清水建設は「グリーンフロート」と呼ばれる人口の洋上都市を構想。自然との共生をコンセプトにキリバス付近の赤道直下に建造することを計画している。
 前田久明教授(浮体工学)は「海上を回遊する巨大な船のようなキリバス国家を建設することも可能」と話した。これを受け、佐藤千昭講師(浮体構造学)は「これらの技術は短期間で建造でき耐久性があるので高い実現性がある」と説明した。
 トン大統領は冒頭の基調演説で「われわれの危機を改善すべく各国が協力し、迅速に対応してほしい」と自国の危機的状況を訴えた。また「すべての人は自らの生存環境を尊重される権利がある。他人の生存に脅威を与えていることを知ったときには、速やかに改善し影響を受けた人々を助けるために行動を起こす義務がある」と述べ、温暖化の原因とされる温室効果ガスを大量に排出している国々が海面上昇の被害国救済に立ち上がるよう求めた。
 大規模な浮き島の基本技術の安全性については1990年代に実証済み。今後は、資金支援や環境計画が課題となる。


ファームフロート.jpg
「ファームフロート」の模型。2015年までに実現を目指す

トン大統領.JPG
自国の危機的状況を訴えるキリバスのトン大統領

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