連載・コーナー  2009年04月20日 21:12

■学生記者発 スコープ 加害者も被害者 学生記者 帯田 翔子

 先日「誰も守ってくれない」という映画を見た。兄が殺人を犯したためにマスコミにしつこく付きまとわれる妹と、その保護に努める刑事が主人公で、報道のあり方や警察組織のしがらみが描かれている。犯人の母親は、マスコミの執拗(しつよう)な追及に耐え切れず、刑事が目を離したすきに自殺してしまう。目を背けたくなるような報道の現実が再現された映画だった。

 マスコミが人を死に追いやってしまうことがある。この映画で描かれた報道関係者には、加害者の家族への配慮など一切なかった。犯人の妹は15歳。大して年齢が違わない女の子が、恐怖におびえているのを見て胸が痛んだ。
 今、学生記者としてではあるが取材活動をしている。書いた原稿が記事になり、多くの人に読まれる。紙面を通して真実や思いを伝えることができる。それが一番の喜びであり、記者活動の原動力でもある。しかし、自分の言葉が人を傷つけ、ついには自殺にまで追い込む可能性があることを知って急に怖くなった。新聞は相手の顔が見えない。気付かないところで人を傷つけてしまうかもしれない。取材し、記事にすることは、不特定多数の読者に影響を与える。肝に銘じなければいけないと思った。
 将来、マスコミ業界に入りたい。幼いころからニュース番組が好きで、緊迫する現場の雰囲気に魅力を感じたのがきっかけだった。現場へ行き、いつか自分の言葉で真実を伝えたい。そして少しでも多くの人に事件や事故について考えてもらい、再発防止につなげたいと思っている。
 映画ではメディアスクラム(集団的過熱取材)が目に付いた。被害者は被害者だが、加害者もまた被害者だった。永遠のテーマかもしれないが、報道人として他人に精神的圧力を与えるのは悲しい。一つ一つの言葉に重みを感じ、謙虚に新聞製作に励む中で、マスコミのあるべき姿を考えていきたい。

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