総合ニュース  2008年12月18日 19:23

■法・校友会 川上未映子さんが講演 読者の価値観揺さぶりたい

 小説「乳と卵」で第138回芥川賞を受賞した川上未映子さん(1996年通信教育部入学)が11月15日、法学部本館3階大講堂で「―<表現>はどこで何をしたらよいかの謎」と題して講演した。主催は同学部校友会。

 受賞作など独特の文体で注目された川上さんは、読者の価値観を変えるような小説を書きたいと宣言。その鍵は「文体が握っている」と明快に述べるなど、独自の小説観を披歴した。
 冒頭、川上さんは「年を取れば死に近づくのに人はなぜ祝うのか」といった「違和感」を幼時から抱き続けていた―との回想から話を始めた。そうした「違和感」を表現したいという欲求が、やがて作詞や小説という表現の世界へと自らを向かわせたという。本学の通信教育部で哲学を専攻したのは、高校で哲学について学んだ際に思想や言語などがこうした「違和感」の解決手段の一つとなるかもしれないと感じたからだ。
 作家としての文体へのこだわりは徹底している。例えば、出世作となった小説「わたくし率イン歯ー、または世界」の文体は自身の価値観を訴えるには「まだまだ弱かった」と振り返った。読者の価値観を揺さぶるような「良いフレーズ」に出合うまで「布団で安静に」し、思い付いたらすぐノートに書き留めるといった創作の苦心談も披露した。
 どうやって受賞作の登場人物を造形したのか、という来場者の質問には「親や友達の性格を参考にした」と答えた。
 執筆中の次回作は斜視の男の子を主人公にする。テーマは「善と悪」。会場には熱心なファンも詰め掛け、100冊限定のサイン入り受賞作「乳と卵」は講演終了直後に完売した。
 講演会後の取材に川上さんは「来場者とコミュニケーションを取りながら講演できて楽しかった。記事にするときは“愉(たの)しかった”と表記してください」と表記を揺るがせにしないこだわりをみせた。

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手ぶりを交えて自身の小説観を熱心に語る川上さん

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