学術ニュース  2008年07月23日 11:53

■生物資源科 アレルギー症状の治療法 桑原准教授が確立

 動物の免疫バランスを調整することでアトピーやアレルギー症状を解消する治療法が注目を集めている。この治療法は、生物資源科学部の桑原正人准教授(獣医学)が十数年前に着想。臨床実験を続けたところ、特にイヌのアトピーに顕著な効果が見られた。将来はヒトのアレルギー症状への応用も期待できるという。

 アレルギー症状は生体内の免疫反応の一種で、体内に入った異物を攻撃すべき細胞が誤って自分自身を攻撃する現象だ。異物を攻撃するのはリンパ球内のT細胞。T細胞の活動を活性化させる細胞がヘルパーT(Th)細胞と呼ばれる。Th細胞が体内の病原体などの異物を撃退する際には、特殊な物質サイトカインを分泌する。分泌されるサイトカインの種類によってTh生体反応は、Th1、Th2、Th3型に分類できるという。アトピーやリウマチはTh1型とTh2型のバランスが崩れることによって発症することはすでに分かっている。
 同准教授はTh3を含む3種類のThの生体内バランスを調べ、この3者のバランスを正常に戻すことによって、これまでは完治しないとされていたアトピー性皮膚炎などの治療に成功した。
 さらに同准教授は、アレルギー症状がアトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症という順番で発症するという「アレルギー・アトピー・マーチ」説に基づき、3種類のTh生体反応のバランスの変化を調べることで、どのアレルギー症状がいつ発症するのかを予測した。その結果、アレルギー症状の早期発見、早期治療が可能になったという。
 今後もアレルギー疾患以外の病気への応用やヒトへの臨床応用を検討し、研究を続ける。

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