学術ニュース  2008年04月24日 19:05

■工 水素製造簡易化に道 触媒を用いて低温化実現

 工学部の出村克宣教授(建築材料学)らと環境技術開発会社ライブニューはこのほど、特殊触媒を用いて比較的低い温度で従来よりも容易に水から水素を分離する方法を開発した。実用化されれば水素をより安価で製造できるようになる。

 水を水素と酸素に分解するには、理論上セ氏2500度以上必要だが、熱化学分解法を用いれば比較的低い温度で製造できる。出村教授らとライブニューが開発したのもこの熱化学分解法の一つだが、700度に熱した触媒に水を触れさせるだけで水素を製造できるというのが特徴だ。
 現在、最も有力とされる水素製造方法はヨウ素-硫黄法(IS法)だ。独立行政法人日本原子力研究開発機構が研究を進めており、400度で水素を製造できる。しかしこの方法だと製造過程で硫酸などを発生してしまう。硫酸は腐食性の物資であり危険なため、その処理過程で900度程度の高温処理が必要。このため装置が複雑化しコストがかかる。
 同教授らの方法だと、熱した特殊触媒に水を送るだけで水素を製造でき、腐食性の気体も発生せず装置が簡単で済む。現在、世界で特許が得られている水素製造方法で、触媒を用いてこれほど低温で水素を製造できるものはない。
 一方で課題も多い。装置の中が非常に高温なため、送り込まれた水が途中で水蒸気に変化する。空気よりも軽い水蒸気の一部は特殊触媒に触れないまま空気中へ逃げてしまう。特殊触媒の表面積を増やし、水蒸気との接触面を増やすなどの方法を模索中だ。
 ライブニューは、同学部内にある郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンターに入居している企業の一つ。同学部が推進してきた産学連携が大きな成果を挙げた。
 出村教授の話 火力発電などの余熱を使ってこの技術を使えれば、これまで無駄だったエネルギーを活用できるだろう。

トラックバック・著作権・リンクについて
トラックバックURL

この記事のトラックバックURL:

このサイト内における全ての文章・画像・図表等の著作権は日本大学新聞社に帰属します
Copyright (C) NIHON UNIV. PRESS All Rights Reserved.