総合ニュース  2008年01月24日 14:47

■医 第3回「ハートtoハート」 国内脳死者からの臓器移植 定着目指し理解訴え

 医学部の南和友教授(心臓血管外科)が代表を務める第3回臓器移植・市民公開講座「ハートtoハート―助かる命を助けられる国に―」が昨年12月8日、日本大学会館大講堂で開催された。国内では脳死者からの臓器移植がなかなか定着せず、移植を望む患者が海外で手術を受けざるを得ない現状を報告。脳死や臓器移植への正しい理解を訴えた。


 

 第1部のシンポジウムでは米国の南カリフォルニア大学の岩城裕一教授(外科)らが日本の臓器移植の現状と問題点について移植医の立場から講演。また、腎臓移植手術を受け現在「NPO法人日本移植者協議会」の理事長として臓器移植推進運動を行っている大久保通方さんが移植を受けた患者の視点から講演した。
 第2部では移植手術を受けた患者やその肉親ら3人が手術の体験談を語った。2003年にドイツで心臓移植手術を受けた会社員石田恵梨佳さんは、日本の病院で移植を待った大勢の友人が、ドナーが現れないまま亡くなった経験を話した。石田さんは、移植手術によって元気に生活できることに感謝していると述べ「移植は、ドナーとその家族の善意によって新しい命をつなぐ、命のリレーだ」と語った。
 第3部では「日本で臓器移植を定着させるためには」と題し、朝日新聞社編集委員の田辺功さんが講演。日本では臓器移植の実情がよく知られていないとした上で「臓器移植の理解向上のため、病院側は新聞やテレビといったメディアを活用してみては」と提案した。
 同じテーマで講演した南教授は、日本で脳死者からの臓器移植が定着しないのは、大学病院の多くが学問中心で実用的でない上、学閥の結束が強く、結果として医師と患者との信頼関係が欠如していることが原因と話した。また、日本の臓器移植法は意思カードの所持に加えて家族の同意が必要としており、他国に比べ臓器提供に伴うしがらみが多いことなども挙げた。
 さらに南教授は、脳死と植物状態とが混同されているとも指摘。「植物状態とは脳の一部が損傷を受けた状態だが、脳死は脳全体の機能が消滅した状態」と定義した。
 公開講座には、北京五輪に向けたシンクロナイズドスイミング日本代表チームの鈴木絵美子さん(07年経済卒=東京シンクロクラブ、ミキハウス)、原田早穂さん(06年文理卒=同)らが出席。移植医療への支援メッセージを述べた。
NPO法人設立 独NGOと協定
 昨年9月には南教授の働き掛けで、日本オリンピック委員会名誉会員の小野清子氏を理事長に「NPO法人ハートtoハート・ジャパン」を設立。トレーニングや健康管理などを通して身体に高い意識を持つスポーツ選手は、移植手術を待つ患者の気持ちをより理解できるとの期待からスポーツ界の著名人に協力を依頼、競泳の北島康介さんらも参加している。
 また今回ドイツのNGO「スポーツマン臓器提供協会(VSO)」事務局長でモスクワ五輪競歩金メダリストのH・ガウター氏を招き、同国での臓器移植推進活動について特別講演も行われた。
 講演後、VSOとハートtoハート・ジャパンとの協力をうたった協定書にガウター氏、小野理事長、南教授が署名した。

ハート.JPG

協定書に署名した南教授(右)ら

トラックバック・著作権・リンクについて
トラックバックURL

この記事のトラックバックURL:

このサイト内における全ての文章・画像・図表等の著作権は日本大学新聞社に帰属します
Copyright (C) NIHON UNIV. PRESS All Rights Reserved.