学術ニュース  2007年09月28日 18:29

■量子科研 井上教授の研究実用化に期待 暗号通信システム高速化に成功

 量子科学研究所の井上修一郎教授(量子光学)らはNTTと共同で、一般的な光通信で使われるアバランシェフォトダイオード(APD)を利用した量子暗号通信システムの高速化に成功した。APDを利用した従来の量子暗号通信システムの30倍以上の速さで通信ができる。この実験の成功で、安全な通信手段とされる量子暗号通信システムの実用化への期待がさらに高まる。

 量子暗号通信の実用化には高速化が不可欠。しかし、APDは光の粒子を送るのに時間がかかるため、高速化が難しいとされている。一方、APDを使わない量子暗号通信では、ノイズが発生し実用化ができないというジレンマがあった。
 井上教授は昨年2月、粒子を集める光子検出器を開発。その後、高速化を阻むノイズの発生を抑える実験を繰り返した結果、APDを使いながら通信を高速化することに成功した。
 量子暗号システムは、第三者が盗聴すると変化して情報を守る性質を持つ「安全鍵」と呼ばれるデータを、粒子に乗せて暗号化する。現行の暗号技術は、解読に時間をかけさせることで情報を守る。量子暗号システムは、盗聴されても痕跡が残り正しい情報が表示されないため、安全な通信手段とされる。
 井上教授の話 この研究が成功するとは思っていなかった。実用化するにはまだ問題がたくさんあるが、7年前から改良してきた光子検出器で成果を出せてよかった。

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