学術ニュース  2006年12月02日 19:47

■総合研究大学院 "脳内カーナビ”実証 泰羅教授が米科学誌に発表

 大学院総合科学研究科の泰羅(たいら)雅登教授(神経生理学)を中心とする研究グループはこのほど、日ごろ通い慣れた目的地への道順を記憶している神経細胞が存在することを突き止めた。

 酒に酔って意識がないときでもちゃんと帰宅できるのは、この神経細胞が脳内でカーナビゲーションのような役割を果たしているからだと考えられる。こうした機能が細胞レベルで明らかにされたのは世界で初めて。論文は、全米科学アカデミーの機関誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された。
 泰羅教授らは、脳の頭頂葉内側部に障害が起きると、知っている道順が分からなくなるという現象に着目。脳内には、通い慣れた道順ならば無意識でもたどり着こうとする情報(ルート知識)があるという仮説を立てて実験した。
 実験では、大型スクリーン上の仮想ビル内をレバー操作で移動できる装置を使い、ニホンザルにビル内の目的地までの道順を覚えさせる訓練を1年かけて行った。その後、同装置を使用しているときのニホンザルの脳内活動を記録した。結果、特定の場所で曲がるなどの動きをしたときにだけ働く神経細胞が、頭頂葉内側部に存在することを発見した。同時に、同じ場所で同じ動きをしても、行き先が異なるときには活動しない神経細胞も見つけた。
 泰羅教授は「このような神経細胞がルート知識を裏付けており、脳内にカーナビのようなシステムがあることを意味している」と話す。
 今回の発見は、人間が交通環境などを視覚的にどのように確認し、脳でどのように処理しているかという問題の解明に役立つという。また、分かりやすい地図の表示方法や、車や携帯端末のナビゲーションシステムの利便性向上などにも役立つと期待されている。

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