総合ニュース  2006年08月03日 21:26

■医学部付属板橋病院 オーダーメード医療臨床研究を開始

 医学部の付属板橋病院は、8月から遺伝子診断を活用した臨床研究を開始する。文部科学省が支援する「オーダーメード医療実現化プロジェクト」の一環で、本学を含め20の医療機関が参加する。同じ疾患であっても、患者それぞれの遺伝子を調べ、個々の体質などに応じた薬を処方する。

 同病院が臨床研究の対象とする薬は「ワーファリン」という抗血栓薬。血液を固まりにくくする働きがあり、深部静脈血栓症のほか心筋梗塞(こうそく)やバイパス手術後の患者などに投与される。しかし、適切な投与量の判断が難しく、出血が止まらないなどの副作用を起こす危険性がある。
 今回の研究では、今まで体格や年齢で判断していた投与量を、遺伝子情報に基づいて割り出す。患者から採取した血液を遺伝子情報を解析する機械にかけて、薬物反応性や体質などを分析。その情報を基に治療方法を検討する。昨年からほかの薬で臨床研究に着手している東京女子医科大学では、副作用低減などの効果が出ているという。研究対象とする薬の種類は、患者や現場の医師からの要望を受け、広げていく予定だ。
 付属板橋病院の研究代表を務める斎藤穎教授(探索医療・ゲノム疫学)は「病名で決められた画一的な治療ではなく、患者の負担が少なく効果も高い治療方法の実現を目指していきたい」と話した。

本学の五つの付属病院参加
 「オーダーメード医療実現化プロジェクト」は、東京都港区の東京大学医科学研究所にある「バイオバンクジャパン」を拠点に進められている。大学病院など67の医療施設が参加しており、対象疾患は悪性腫瘍(しゅよう)や糖尿病から、花粉症まで約40種類。来年の9月までに30万人分の遺伝子情報を集積し、それを基に薬の効果の個人差を研究する。
 本学の四つの付属病院と付属歯科病院は、同プロジェクトに2003年6月から参加しており、2万人以上の遺伝子情報を収集した。
 プロジェクト設立当初は、個人情報を取り扱うリスクが指摘され、協力者を集めるのが難しかった。しかし、最近はメディアから注目され、疾患への有用性が理解され、関心が高まっている。

 オーダーメード医療(個の医療)
 遺伝子情報を基に、個々の患者の身体構造などに適した治療法を考える医療。副作用を小さくし、高い治療効果が期待できる。近年のヒトゲノム(ヒトの全遺伝子情報)研究の進歩により、遺伝子情報が以前に比べ、容易に調べられるようになったことが背景にある。無駄のない治療で患者の身体的、経済的負担を軽減するメリットがある。現在の主流であるレディーメード医療(病名により決められた画一的な治療)に代わる、新治療方法として注目されている。

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