学術ニュース  2006年08月03日 21:10

■医 内山教授が不眠症、睡眠不足の損失を3.5兆円と試算

 医学部の内山真教授(精神神経医学)は、不眠症や睡眠不足によって国内で生じる経済損失が年間3兆4693億円余に上るという試算をまとめ、6月7日、東京都千代田区の日本記者クラブで発表した。化学メーカーの従業員を対象に睡眠時間などをアンケート調査し、給与、交通事故の損害費用などのデータを基に推計した。日本で詳細なデータを基に睡眠の問題による経済損失額が算出されたのは初めて。

 アンケートは昨年2月に実施。社員5312人のうち4078人からウェブを通じて回答があり、その中の有効回答3075例を分析した。
 主な質問内容は(1)性別、年齢、職種など回答者の「基本情報」(2)睡眠時間や寝付きの良さなど「睡眠の状態に関する情報」(3)勤務中の眠気の頻度、眠気による欠勤、遅刻、早退、作業効率などの「生産性に関する情報」(4)交通事故の有無などの「交通事故に関する情報」の四つ。
 その結果「寝付きが悪い」「深夜、早朝に目が覚めてしまう」などの問題がある人は、問題がない人に比べ、男性で月に平均2・3回、女性で2・1回多く眠気に襲われることが分かった。眠気がある時の作業効率は、眠気のない時に比べ男性で40・1%、女性で37・0%低下することも判明した。
 さらに睡眠に問題がある人とない人の「眠気の頻度の差」に、眠気がある場合の「作業効率の低下率」と公的調査で判明している「年間給与」を掛けて、1人当たりの年間生産損失額を計算。男性が25万5600円、女性は13万7000円と推定した。睡眠に問題がある労働者全体では、約3兆665億円の損失とはじいた。
 睡眠が原因の欠勤、遅刻、早退の回数それぞれに給与等を掛け合わせ、年間損失額を計算すると、欠勤731億円、遅刻810億円、早退75億円となった。また、不眠、寝不足による交通事故の損失は、睡眠不足が原因となった事故の頻度に物的、人的それぞれの損害費用を掛け、合計2413億円とした。
 計算にはシンプルな方法を用い、比較を容易にしたのが特徴。内山教授は「5兆円くらいかと予想していた。金額の絶対値が大きいか小さいかは何とも言えない。今後は国際比較に取り組んでいきたい」と話している。

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