スポーツニュース  2006年05月20日 19:45

■競泳日本選手権  スーパーうれしい! 森田3冠

 国際大会の代表選考会を兼ねた競泳の第82回日本選手権は4月20日から23日まで東京・辰巳国際水泳場で行われ、男子百メートル背泳ぎで森田智己(経済4・セントラルスポーツ=宮城・東北高)が世界記録まで0秒68に迫る53秒85の日本新記録で5連覇、同五十メートルで3年連続4度目の優勝、同二百メートルでも優勝を飾り「スーパーうれしい」3冠を達成。女子では伊藤華英(同・同=東京成徳大高)が二百メートル背泳ぎを2分9秒15の自己初となる日本新で3年ぶりに制し、同百メートルでは2連覇した。2人は来年3月に豪メルボルンで開かれる世界選手権代表に内定。

 8月にカナダ・ビクトリアで行われるパンパシフィック選手権、12月にカタール・ドーハで行われるアジア大会、来年の世界選手権と、三つの国際大会の代表選考を兼ねた重要な大会で、本学勢が大活躍を見せた。
 大会2日目、伊藤が女子百メートル背泳ぎで1分0秒65の自己ベストで2連覇を飾った。森田は男子百メートル背泳ぎの予選で、自身の持つ日本記録を塗り替える54秒12を出すと、決勝では世界歴代4位に相当する53秒85をマーク。再び日本記録を更新し、5連覇を達成した。3日目、伊藤は女子五十メートル背泳ぎで3位に終わったが、森田は前日に続いて25秒39の日本新記録で優勝。男子四百メートル自由形では松本尚人(文理4=静岡・沼津学園高<現飛龍高>)が2位に入った。最終日は伊藤が女子二百メートル背泳ぎで日本記録を0秒73上回る2分9秒15の新記録をマークして2冠。森田は男子二百メートル背泳ぎも2年ぶりに制し、自身2回目となる3冠を達成した。
 伊藤は百メートルと二百メートル、森田は五十メートルと百メートルで国際大会の決勝に進出できるタイムに相当する派遣標準記録Ⅰを突破し、来年3月の世界選手権代表に内定した。
 主な結果は次の通り
 【女子】 ▼五十メートル背泳ぎ(3)伊藤華英29秒00▼同百メートル(1)伊藤1分0秒65▼同二百メートル(1)伊藤2分9秒15(日本新)
 【男子】 ▼四百メートル自由形(2)松本尚人3分53秒17▼五十メートル背泳ぎ(1)森田智己25秒39(日本新)▼同百メートル(1)森田53秒85(日本新)▼同二百メートル(1)森田1分58秒79

「大人になった」
 ○…森田は電光掲示板の表示する53秒85のタイムを見るとコースロープに飛び乗り、ガッツポーズをしながら「ウォー」と雄たけびをあげた。
 大会2日目、最も得意とする百メートル背泳ぎ。午前の予選で自らの持つ54秒20の日本記録を0秒08更新。「決勝では53秒台を狙う」と堂々と宣言していた。
 決勝のスタート前、名前がコールされた。いつもは挑発するような、やんちゃで派手なポーズを決め、観客を沸かせる森田だが、この日は違った。いすから立たず、手を挙げるだけ。「レースと言うより、自分の発表会という心境」。スタート直前までヘッドホンを付け、極限まで集中した。
 前半50メートルは3番手で折り返したが、落ち着いていた。「後半をしっかり泳ぐ」という作戦通り、ここから強さを発揮した。世界トップレベルともいわれる得意のバサロキックでトップへ躍り出ると、その後は一気に加速。上半身のウエートトレーニングで強化された背筋力が力強いキックを生み出し、後続を体半分以上も引き離してゴールした。
 「大人になった」とレース後、本人も鈴木陽二コーチも口をそろえた。スタート前のおとなしさはその表れだ。「以前は自分を大きく見せないとプレッシャーに勝てない気がした」。派手なパフォーマンスは精いっぱいの強気だった。しかし今は「自分の泳ぎを見てもらえれば十分」と思えるようになった。体を鍛え直し、しっかり泳ぎ込む。充実した練習が、その自信を与えた。
 五十メートル、二百メートルも制し、3冠を達成したが、世界の頂点へ照準を定めるのはやはり百メートルだ。米国のピアソルが持つ世界記録53秒17に0秒68まで迫ったことで、それは現実味を帯びてきた。「ここで終わりじゃない。金メダルを取るには、もっと速くならないと」。飽くなき向上心を持つ森田の、世界一への挑戦が続く。
 もりた ともみ 1984年8月22日、宮城県生まれ。経済学部経済学科4年。169センチ。B型。アテネ五輪男子百メートル背泳ぎ銅メダリスト。


初の日本新を喜ぶ
 ○…昨年7月のカナダ・モントリオール世界選手権の二百メートル背泳ぎで4位。惜しくもメダルに届かず「すごく悔しかった…」。ここから伊藤はどん欲に練習に打ち込み、世界へ再挑戦する試金石となる日本選手権を迎えた。
 大会2日目の百メートル。アテネ五輪二百メートル銅メダリストの中村礼子(東京SC)をラスト10メートルでかわし、自己ベストの記録で連覇したが、ゴール直後は納得がいかないような表情を浮かべた。「日本新じゃなかったから」。2000年から更新されていない、中村真衣(JSS長岡)が持つ日本記録を破れなかったことへの不満を隠さなかった。
 「日本新を目指す」と公言して挑んだ二百メートル。中村礼子との一騎打ちが予想されたが、結果は伊藤の独壇場だった。前半から日本記録を上回るハイペースでリードを奪うと「一番大事だと思っていた」100~150メートルでライバルを完全に引き離した。従来の記録を0秒73も縮める会心の泳ぎ。「やっと切れた」。百メートルとは違い、今度は心からの笑顔が弾けた。
 精神力でも泳ぎの技術でも、抜群の成長を見せつけた。2年前にアテネ五輪出場を逃した時は、周囲の期待にプレッシャーを感じ、自分の泳ぎを完全に見失った。この反省から「自分の泳ぎに徹した」結果、持っている力を出し切れるようになった。冬場の練習では1日18キロ近くを泳ぎ込み、苦手のウエートトレーニングもこなした。「スタート、バサロ、ストロークとすべて良くなっている」と、自ら成長を実感している。
 「初めての日本新記録で本当にうれしい」。二百メートル背泳ぎ決勝後、伊藤は満開の笑顔を見せた。「今度は世界で勝負ができる選手になって、必ずメダルを取りたい」。揺るぎない自信を手に、次は世界の舞台で輝く。
 いとう はなえ 1985年1月18日、埼玉県生まれ。経済学部経済学科4年。173センチ。AB型。2005年世界選手権女子100メートル背泳ぎ6位、200メートル背泳ぎ4位入賞。

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