総合ニュース  2005年07月22日 14:56

■医学部創設80周年 「寿命」テーマにシンポ

 創設80周年を迎えた医学部は7月2日に、記念国際シンポジウム「21世紀の寿命」を日本大学会館2階大講堂で開催した。海外からロバート・K・クローン教授(米国・ハーバード大)、程祖亨教授(中国・新疆医科大)、能勢之彦教授(米国・ベーラー医科大)の3教授を招き、講演した。

 初めに堀江孝至医学部長(呼吸器内科学)が、本学が所有する三つの付属病院や医学部が歩んできた歴史、教育目的などを紹介した。同学部の卒業生でもある瀬在幸安総長が「80周年の歩みというのは何事にも変えがたい、大きな歴史であり宝物です。本日は優れた先生方から、まさに人類が求めているテーマのお話を聞けることを大変うれしく思います。80周年を機に、医学部がさらに発展することを心よりお祈り申し上げます」と祝辞を述べた。

 後半は、クローン教授が「寿命の国際比較~寿命に関する因子について~」、程教授が「中国西域少数民族の自然寿命の環境と遺伝子」、能勢教授が「寿命と人工臓器~寿命は、人工臓器でどこまでのびるか~」をテーマに、約2時間半にわたり研究成果や考えを発表した。講演の後には質疑応答の時間が設けられ、参加者は寿命の長さについての疑問や今後の医療技術などを3教授に質問した。


講演要旨

判断力で寿命延ばす・クローン教授
過去一千年において人間の寿命は、人口を減少させる戦争や疫病などの激動の中、確実にゆっくり上昇してきたといえる。市民の公衆衛生や医療技術の向上など、19世紀半ばから寿命が長くなる傾向が確立されてきた。だが各国の発展状態によって死亡原因には違いがある。科学的、技術的な発展を遂げたこととは裏腹に、世界という一つの共通項の中でお互いに協力していく気持ちが強まってきた確証はない。これからの一世紀に向け、寿命が延びていくのか縮むのかは、われわれがどのように知的想像力、資源そして判断力を使っていくかにかかわっている。

自然長寿の基礎探求・程教授
老衰と長寿に関する研究は昔から人類が絶えず探求する領域だ。老衰はすべての動物に存在する現象で、遺伝子、環境、生活様式など相互作用の影響を受けて、種内と種間の寿命の不一致を招く。中国の新疆ホータン地域は世界四大長寿域の一つである。この地域に住むウイグル族は外部との結婚がほとんどなく、自生自滅状態になっている。これは貴重な遺伝子隔離群で、自然長寿と考えられている。初歩的に自然寿命に関連している要素は、無汚染の環境、明朗な性格などで生理代謝機能の維持、免疫システムの健全は自然長寿の生理、生物化学などの基礎になっている。

血液浄化の効果期待・能勢教授
近年、数多くの人工臓器が機能の廃絶した心臓、肺、肝臓などの代用として人々の命を救っている。年間約1300人が人口心臓による治療を受けている。このうちの約50%は心移植や人工心臓の離脱例と同程度の長期存在に至っている。もし、これら人工臓器が一般市民にとって手軽に利用できるほど低コストになれば、病気や老化の予防にますます貢献することになるだろう。特に血液浄化技術についてはこれらの効果が大きいと思われる。
 今後、人工心臓を装着された末期心不全患者においても血液浄化により生存率を改善させることが期待される。

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