学術ニュース  2005年07月13日 18:41

■イラク戦争から2年 それぞれが思いを語る 

 日大経済人カレッジ(会長=神谷光徳冨士工特別顧問)の講演会が5月26日、日本大学会館で開かれ、防衛庁陸上幕僚監部の番匠幸一郎広報室長(一等陸佐)が「『戦地イラクの知られざる現状』―今語られる真実・日本の立場―」をテーマに講演した。
 国際関係学部は6月8日、橋田メモリアル・モハマドくん基金100人委員会の代表・橋田幸子さんを招き、特別講演会を開いた。約800人の学生や市民が聴講し、会場となった8号館の講堂が満員になった。


友好関係を築くABC


 いまだに戦闘状態が続く イラク・サマワで500人の隊員を率いた体験談や、今後の世界情勢に対して日本はどのような姿勢で臨むべきかを語った。

 講演内容 イラクでの目的は戦いではなく人道復興支援。われわれは「日本人の代表として誠心さをもって業務に当たろう」とした。出発の際、わたしは三つの目標を掲げた。現地で日の丸を早く掲げよう。続く部隊のためにいい基盤を作ろう。そして全員が元気で一緒に帰ってこよう、と。

 イラクの人々は思っていた以上に親日的で、業務に温かく臨めた。われわれに手を振ってくれるのを見ると、日本人全体に対して振ってくれているのではないかと感じた。

 友好関係を築くためにABC(+DE)というモットーを心掛けた。その意味はA=当たり前のことを、B=ボーッとしないで、C=ちゃんとやる。ここまではできるのだが、さらにD=できるだけ、E=笑顔でやる。基礎に忠実に心にゆとりを持って業務に当たることは大切だと感じた。

 日本に帰って日本ほど美しく、豊かで、安全な国はないということをつくづく思う。同時にほとんどの隊員たちは「また行きたいなあ」と言っている。自衛隊としてイラクの人々と一緒になって復興に励めたことを誇りに思う。


橋田さん夫の意思を代弁


 橋田さんは、昨年5月27日にイラクで凶弾に倒れた、夫でフリージャーナリストの信介さんの妻という立場から「約束~戦場ジャーナリスト・橋田信介と見たイラク」のテーマで、約1時間講演。現場に行って自分の目で見ることの大切さを語り「ただ行くだけではなく、そこで何かを感じる感受性を持ってほしい」と強調した。さらに、生前に信介さんから聞かされたイラクの状況について語り「夫は戦場から『生きる』ということを伝えたかったのでは」とその意思を代弁した。

 また、講演後の記者会見でイラクで戦闘に巻き込まれて左目を負傷した、モハマド・ハイサム・サレハ君が奇跡的に回復したことを報告。今後の活動目標として、サマワでの孤児院の建設や、パルージャに子ども病院を設立することを挙げた。

 国際関係学部は昨年6月9日に橋田信介さんを招き、講演会を開く予定だったが実現しなかった。そこで「夫の残した思いを伝えたい」と、幸子さんが信介さんに代わって演壇に立った。演題にも込めた、信介さんや同学部との「約束」を1年ぶりに果たす形となった。

 佐藤三武朗同学部長は「今回の特別講演が、学生にとって21世紀を担う意欲と夢を抱くきっかけになれば」と話した。一方、聴講した橋本啓輔さん(国際関係2)は「現実の大切さを知った。現場の声に、もっと耳を傾けるべきだと感じた」と話した。

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